海外転職をする人が増えてきて、現地採用という雇用形態で海外の日系企業で働く日本人も増えています。
現地採用のメリット・デメリットは別の記事にまとめています↓
メリット・デメリットのある現地採用という雇用形態ですが、せっかくやる気を持って始めた仕事なので、昇進のチャンスは全くないのか、それとも頑張れば出てくるのか、が気になる人もいると思います。
日本にいるときは仕事を見つけることが目的になってしまうけど、実際は働き始めてからの方が長いから、よく考える必要がありますね。
そこで今回は、海外拠点の日系企業ではどのような昇格制度になっているか、どうやったら昇進になるかについてをご紹介します。
昇格制度はきちんとした骨組みがないことが多い
日系企業の現地採用スタッフにはきちんとした昇格制度の骨組みがないことが多々あります。
日本では、役職とは別に、職能という昇進制度がありますが、現地採用スタッフにはそのような制度が用意されてないことが会社が多いです。
ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、香港のような大都市で何千人規模の現地採用スタッフを抱えているような大組織は職能のようなものが用意されていますが、50−100人規模で海外拠点として活動している日系企業の場合はそのような仕組みがありません。
異動も新規採用も、大抵は欠員補充という場合が多く、そこにいるスタッフが辞めるまでそのポジションは空かない、ということがほとんどです。
そのため、現地スタッフが昇進するのは、かなり稀と言えるでしょう。
日系企業で昇進するのは至難の技ということですね。もともとの待遇もあまり良くないから、昇進がないと給与も上がらなそうです。
同じ人が同じ部署で10年20年と同じ仕事をすることも多く、人の流れが停滞していて現地の外国人でさえも昇進の少なさに行き詰まり感を覚える場合もあるらしいですよ。
会社組織のビジネス形態による
どこの会社もそうですが、どんなビジネス形態であるかによって、会社の中のキーパーソンが変わってきます。
会社の中のキーパーソンとは、収益を生み出す人(人々または部署)です。会社にとって一番大事なのは、ビジネスを回すために売上を立てることなので、プロフィットに直接関わっている人が鍵になってきます。
とはいえ、それでは売上を上げる営業マンが一番偉いかというとそんなことはなく、メーカーではエンジニアが強かったり、リサーチャーの意見が尊重されたり、または財務戦略で成り立っている会社は財務部が強いなんてこともあります。
昇格できるかどうかは、会社のキーパーソン(またはその一員)になれるかどうか、が深く関わってきます。
営業が強い会社の営業部署に入って営業成績を上げることができれば、たとえ現地採用でも昇進する可能性も高く、ゆくゆくは部長を任される可能性もあるでしょう。
エンジニアが強い会社のエンジニアになれば、それなりのタイトルで迎えてくれて大事に扱ってくれることもあります。
一方で、営業が強い会社のアドミニストレーターになると、昇進スピードは遅い可能性があります。
つまり、陽が当たる部署で会社の収益につながる仕事をする、ということが昇進への近道になってきます。
どんなに一生懸命頑張っても、陽が当たらない部署で裏方仕事をしているだけでは、いいように使われてしまうことが多いと言えます。
日本文化に頼っているビジネスかどうか
次に重要な要素は、日本文化に頼っているビジネスかどうか、ということです。
日本文化に頼っているビジネス形態の会社は、日本人を重宝するため、現地採用であっても日本人であれば昇進しやすいという特徴があります。
日本文化に頼っているビジネスとは、海外拠点に出たものの、自社の顧客は日系企業や日本人のクライエントが多い、という場合です。
海外拠点に進出した日系企業をサポートするような会社は全て日本文化に頼っているビジネスと言えるでしょう。
逆に、その国のローカル市場に進出することを目標としているビジネスでは、言語文化に精通した現地の外国人を重宝する傾向があり、外国人を昇進させる動きが見られます。
ポジションが空くタイミングがあるか
海外の日系企業は現地採用スタッフの定期的なローテーションがほとんどなく、他部署への異動をさせてもらえることは少ないと言えます。
何年も異動を希望し続けてやっと一人二人と部署を交換してもらえる、という個別異動があるくらいだったりします。
マネージャー職についても同様で、そのマネージャーが辞めない限り、その下のスタッフがマネージャーに昇格できない、という現象が起きます。駐在員がマネージャーをしている部署であれば別ですが、自分の入った部署で、上のポジションが空くタイミングがあるかどうかが昇進に関係してきます。
日本人の駐在員マネージャーとの関係
日本人駐在員マネージャーとの関係が良好であることは昇進に影響してきます。
というのは、現地採用スタッフの昇進を決めるのは、人事部ではなく、その都度派遣されている駐在員であるため、駐在員の仕事のしやすい環境を作れるスタッフが高評価を受ける、ということになります。
あまり客観的な人事評価に基づいているようには聞こえませんね。
パフォーマンス評価の仕組みはあるものの、海外拠点では現地に派遣された駐在員の意向が強く働くということですね。駐在員全員が人事部としてのトレーニングを受けているわけではないので、多少歪みが出てきてしまうこともあるようです。
まとめ
海外の日系企業で働く場合、昇進できるかどうかは、個人のパフォーマンスだけではどうにもならないことも多く、たいていの場合その時の需要で決まってきます。運やタイミングも関係していると思いますが、仕組み自体に昇進しづらい要素がたくさんあることも問題です。
昇進を目指している人は、初めからこの現状を認識して日系企業に勤めるべきかどうか再検討する必要があるでしょう。
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