リープフロッグ現象の意味と事例知ってる?【技術の進歩】

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昨今の技術革新は目覚しいものがあります。シリコンバレーをはじめとするアメリカの活躍は目覚しいですが、実は、アフリカのような何のインフラも整っていなかったような国でさも、今や日本を超える最新技術を取り入れられる状態にあると言われています。

日本やヨーロッパは、『先進国』といって時代を一歩リードしていたんじゃなかったっけ?と思われたあなた。

『リープフロッグ現象』という言葉を聞いたことはありますか?

インドやブラジル、中国などで見られる高い技術開発も、実はこの現象を引き起こしていると言われています。

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リープフロッグ現象とは?

リープフロッグ現象leapfrog)とは、文字通りLeap(跳躍)するFrog(カエル)の事で、簡単に言うと

技術進歩のスピードが速すぎるため、新興国のような遅れて発展した国が一気に最先端の技術に到達すること

です。

通常であれば、「段階を踏む」というステップが用意されていそうなものの、実際は、先進国が歩んできた発展過程を新興国が踏むことなく、途中の段階を飛び越して一気に最新技術を導入することで起こります。

既存の「ちょい古め」の技術は導入せずに飛ばすんですね。

その現象がなぜ注目されているかというと、新興国と言われる東南アジアやアフリカ、インドなどで、そのような現象が多く見られるためです。

「発展途上にある国」として、はるか自分たちの遠く後ろを歩いていたと思われる国が、力をつけ、資金力をもとに最新技術を入れた結果、自分たちよりも何倍も優れた最新技術を駆使してとっても便利な生活をしているのです。

途上国・新興国と言われる国の方が、あっという間にハイテク化が進んでしまうんですね。

一方で、先進国はというと、こちらも最新技術入れたいものの、既存のシステムとの関連や費やしてきたコストを考えると、簡単にはポイッと捨てることはできません。

「じゃ、明日から最新で。」なんて軽く言えないんですね。

すでに導入したシステムをもとにインフラや人材育成もし、法的な整備をした場合もあるかもしれません。すでにある技術が普及している場所では、次の新しい技術の普及はなかなか・・ということのようです。

新興国は、何もないゼロの状態だったために、

「じゃ、明日から最新で。」

と言いやすいのです。

先進国では、それをリープフロッグ現象としてもどかしさを表現するとともに、数年前に入れた既存のシステムの扱い方にも頭を悩ませています。

例えば、企業で数年前に最新のものとして導入したシステムが、よりスピードの早い技術革新によりさらに高機能のシステムが次々と出てくるため、既存のシステムがあっという間に『古い』システムに格下げされてしまったなんて話を聞きませんか?アセットだと思って多額の費用をつぎ込み導入したものの、新技術に負けて結果数年で負債化してしまうという問題です。

IT負債なんて呼ばれ方もしています。新しい技術が出てこなかったとしたら、そんなもどかしさもなく、既存のシステムでも十分使えるとハッピーだったかもしれませんが、既存のシステムのままでは、市場の競争に勝ち抜くことが困難なのが難点です。

企業にとっては、今とても大きな問題となっています。

時代の流れの速さはiPhoneを見てもわかりますね。2014年に発売のiPhone6を持っているけれども、iPhone7、iPhone8、iPhoneXなどの新機種の画質の良さを目の当たりにすると今ではなんだか古い気がしてしまい何度買い替えたことか・・・技術開発のスピード速すぎです!

リープフロッグ現象の事例

このリープフロッグ現象としては、以下のような事例があります。

  • 中国では実際の店舗よりもE-commerceの方が圧倒的にシェアが高い。なぜなら、ショッピングモールなどの実店舗が街中にできる前にタオバオやアリババなどのEコマースができたため。
  • 中国のアリペイやテンセントのウィーチャットペイをはじめとする中国の電子ウォレット決済が現金やクレジットカード利用を飛ばして盛んになっている例。
  • インドにおける、インド版アリペイのような電子ウォレット(決済)サービスの「PayTM(ペイTM)」の導入により小銭不要のデジタル決済の猛烈な発展
  • ガソリンを一切使わず電気のみで走る自動車EVの導入。中国では、Teslaの競合になるBytonが開発。
  • ケニアの M-pesaと呼ばれる携帯のメッセージ機能を利用した安価な送金システムの発展。
  • アフリカのシンガポールと言われ、ICT立国として牽引するルワンダの技術発展
 

アリババが生まれた杭州のレストランでは、メニューも携帯でテーブルについているバーコードを読み取って注文し、支払いもバーコードとリンクさせて携帯から済ませられます。店員さんが現れたのは、ご飯を運ぶときだけ。

いずれも、急速な発展とともに、日本やヨーロッパでは既存のインフラやしがらみが邪魔して導入までに時間がかかることを、スッとやってのけるのが特徴です。

先進国の小さな国は小回りがきく

日本やヨーロッパの国は既存のシステムや法整備が邪魔をして一朝一夕に変化を遂げられませんが、それでも小さな国はわりと小回りがききます

エストニアというバルト3国の一つで、あのSkypeアプリを生み出した国として有名な国は、今ではITベンチャーの国として力を入れています。街全体が世界遺産の可愛らしい国がITの国とはギャップが面白いですが、小さな国ならではの戦略が功を奏していると言えるでしょう。

また、税制メリットを武器に多くの企業や起業家を誘致しているオランダダブリンのような都市や、金融の裕福な国ルクセンブルクも今ではIT技術導入やスタートアップ誘致に進んで力を入れています。

これらの小さな国では、アジアにおけるシンガポールのように小回りがきき、既存のシステムや制度を入れ替えたり変更したりするときにもそれほど大きな規模にならず、マネージしやすい利点があります。

技術の進歩に伴って、ヨーロッパではこれらの国にもますます注目がいきそうです。

まとめ

リープフロッグ現象は今後もますます進んでいくと予想されています。何もなかったところに、最新技術が入り込み、あっという間に一段どころか数十段抜かしで1位に躍り出るわけですから、グローバルマップを大きく上書きしてしまうこともあるかもしれません。

先進国にとってはもどかしい時期が続きそうです。

新しい技術の良さをわかっていながらも、それを一気に導入することができず、既存のシステムとのインターフェースを間に挟みながら、段階的に近づいていくことになりそうです。

さらなる技術革新の加速があった際に、市場競争に勝ち抜くために最新技術にさっと全すり替えするかどうかは、経営手法が問われるところと言えそうです。

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