アマゾンのレビューやメルカリの取引評価、Uberのアセスメントや各レストランの口コミなど、今やインターネットで個人が個人を評価する時代になりました。
これからの時代は、個人の時代と連動して、自分の価値が数値で評価される時代になると言われています。
評価基準は何なんでしょうか?
その仕組みにより、会社や企業内などの特定の人からだけの評価に依存することなく自分の価値を上げることもでき、また様々なメリットがある一方で、デメリットを受けることも出てきます。
スコアリングって何?
スコアリング(採点)とは、本来はマーケティングの目的で見込み客を抽出するための指標として導入されたもので、見込み客の自社への価値を数値化・点数化することですが、従来のマーケティングの目的を超えて、社会全体でスコアリングが導入されつつある流れがあります。
「信用スコア」とも言われます。
一番わかりやすい例でいうと、中国のアリババが運営する「芝麻信用(Zhima Credit)」というサービスです。決済システム・アリペイの一機能として、全支払い機能・資産・社会ステータス・SNS嬢の人脈などありとあらゆるデータを管理し、個人をスコアリングします。その上で、高スコアを取ると、ローン金利がやすくなったり、審査に通りやすくなったり、他の社会的なサービスにおいて恩恵を受けられるというものです。
金融業界は取り入れ始めている
信用というと、従来は金融業界で主に使われていた『クレジット(=貸付)』が思い出されます。
金融業界は、相手がお金を貸していい人物なのかどうか、慎重に見定めなくてはいけないので、クレジット審査というのをしますが、これが、AIの普及により、個人にも『見える化』してきているのです。
いち早くこの流れに目をつけたみずほ銀行とソフトバンクが共同開発したJ.Scoreというものがあります。
個人もあらゆる場面で査定される
また、このスコアリングは、お金を借りる時に査定される場合や、レビュー機能のある単一アプリ内やサービスの中だけで使われていたスコアですが、これからはこれらの数値が連動して『個人の総合評価』=信用をつくると言われています。
SNSやインスタグラムのいいね!の数やブログ記事のアクセス数のように、人々の需要のあるところに価値が生まれる仕組みかもしれません。
企業内の人事評価にも影響
ネットの拡散により、個人が個人を評価することから変化しつつある格付け時代ですが、企業においては『360度評価』というのを取り入れようという動きが活発に行われています。
360度評価とは、上司からも部下からも同僚からも、または他部署の自分が関わった人などすべての人から評価され、総合的に点数が付けられる仕組みです。
上司のことばかり見ているヒラメちゃんはいなくなりそうですが・・・
誰からも評価されるのを意識すると気が抜けないですね。
常に誰からも点数が付けられる時代になってきているという流れですね。
スコアリングのメリット
常に良い行いをし、清廉潔白で日の打ち所のない”信頼的に優秀な人”にとってはこのスコアリングのシステムによってたくさんの恩恵を受けます。
今までは、社会的に信頼という側面で価値が高くても、例えば感情的な上司に恵まれずに日の目を見ないなんてこともあったかもしれませんが、全てが数値化された際に自分が高評価を得られ、社会的に優遇されるというのは、とてもフェアな考え方であるとも言えます。
また、金融機関の信用測定方法が見える化されるというのも便利になり、全てが信用スコアに基づく取引になり『信用経済』という概念が生まれ、個人間の取引における新たな軸の一つになってくれます。
そして、数値化されることにより、人々の間で安心や平等感も生まれます。
スコアリングのデメリット
明確な評価基準がない
金融機関におけるクレジット審査は、現状顧客の事業や貯蓄など数値で存在するものの中から評価するので、評価基準がわかりやすく、それが個人にも『見える化』されるというのであれば、改善点も明確になってきます。
一方で、個人の生活の中でもらう評価に関しては、評価基準が変わりづらく、改善もしづらいのが難点です。
例えば、Uberなどは自分も良い評価をもらい続けることで、より近くにいるタクシーを拾えるアルゴリズムがあるようで、なるべくどのタクシーさんとも気持ち良いライドを心がけよう、と言う気持ちにもなります。
でも一方で、自分の行動や態度とは関係ないところで、ガクッと評価が上がったり落とされたりすることもあるようです。例えば、外観、人種、年齢など、自分にはどうしようもない部分などがそれに当たります。
個人が個人が評価する際に、明確な評価基準がないため、好き嫌いの感情論に流れがちになります。
一度低評価をもらうと挽回できない
このAIスコアリングは、一度低評価がついてしまうと簡単には挽回ができないようです。
一時的な不調などで低評価に落ちてしまうと、その後は社会の恩恵を受けることなく、低質なサービスや社会的不利益を受け続けることになり、いずれは社会から排除されてしまうことが懸念されています。
バーチャル・スラムという言葉も生まれていますが、負のループに入り込み
いずれはバーチャルな世界でスラムになってしまうという現象について触れています。
Deloitteによってまとめられていてわかりやすいので読んでみてください。
これから制度面でも徐々に整っていくことを願いします。
まとめ
AIを活用した『信用スコア』から生まれる新しい物差しが生まれようとしています。
現段階では、メリットを受ける人とデメリットを受ける人の差が大きく、導入することによる新たな成功の形と不平等感が生み出されることも予想されます。
人々の生活を豊かにするためのAI活用法に注目がいきそうです。